仕事に大きな不満があったわけではありません。
社内SEとしての仕事は回っていたし、評価や立場に強い不安があったわけでもない。
それでも、ある時から「このまま定年を迎える自分」が、まったく想像できなくなりました。
将来が不安、という言葉にしてしまうと少し違います。
転職したいわけでも、副業で稼ぎたいわけでもない。
ただ、自分がこの先、何を語れる人間でいるのかが見えなかった。
この記事では、学び直しを始めた理由や、何かを決断した話はしません。
その前段階で、自分の中にあった言葉にできなかった違和感について、整理してみようと思います。
仕事は回っていた。でも安心はしていなかった
社内SEとしての仕事は、日々の業務としては特に問題なく回っていました。
トラブルが起きれば対応するし、周囲から大きな不満を向けられることもない。
「仕事ができていない」という感覚は、正直ほとんどなかったと思います。
評価も極端に低いわけではなく、居場所がないと感じることもありませんでした。
少なくとも、その時点では「会社に不満があるから何かを始めたい」という状態ではなかった。
外から見れば、わりと普通に、安定して働いている50代だったと思います。
それでも、なぜか心のどこかで落ち着かない感じがありました。
仕事は回っているのに、安心している実感がない。
理由を聞かれても、うまく説明できない違和感だけが残っていた気がします。
不満ではなく「想像できなさ」だった
あとから振り返ってみても、はっきりした不満があったわけではありません。
給与や人間関係、仕事内容に強い不満があったら、もっと分かりやすかったと思います。
でも実際は、そのどれでもなかった。
「この会社が嫌だ」「今の仕事をやめたい」
そういう気持ちは、当時ほとんどありませんでした。
だからこそ、自分の中で起きている感情が、余計に分かりにくかった気がします。
引っかかっていたのは、不満というよりも、先の自分を想像できない感覚でした。
このまま働き続けて、定年を迎え、その先にいる自分がまったく浮かばない。
何か不安な出来事があったわけでもないのに、その「空白」だけが妙に気になっていました。
きっかけは小さな出来事ひとつだけ
大きな事件があったわけではありません。
配置換えや評価の変化、体調を崩した、といった分かりやすいきっかけもなかった。
本当に、日常の中のごく小さな出来事でした。
ある時、何気なく先の予定や年齢の話題が出た瞬間に、
自分がその先の自分をまったく思い描けていないことに気づきました。
その事実に、自分自身が一番驚いていたと思います。
「まだ先の話だ」と流そうと思えば流せたはずなのに、
なぜかその感覚だけが頭に残りました。
説明できないけれど、見て見ぬふりはできない違和感として。
「何かを始めたい」より「何もないのが怖かった」
よく言われるような「新しいことに挑戦したい」という前向きな気持ちが、
最初から強くあったわけではありません。
むしろ、何かを始めたいというよりも、何もない状態のまま時間が過ぎていくことが気になっていました。
今の仕事がある。生活も大きくは変わらない。
それでも、この先を振り返ったときに、
「自分は何をしてきたのか」と聞かれて、何も語れない気がした。
スキルや収入の話ではなく、評価や肩書きの問題でもありません。
ただ、空白のまま年齢だけが進んでいく感覚が、
じわじわと重く感じられるようになっていました。
答えは出ていないまま、考え始めただけ
この時点では、何かを決断したわけではありません。
勉強を始めたわけでもなく、資格を取ろうと決めたわけでもない。
ただ、これまであまり考えないようにしてきたことを、
一度ちゃんと考えてみようと思っただけでした。
すぐに行動しなければいけない、という焦りがあったわけでもありません。
今の仕事を続けながら、少し立ち止まって考える時間が必要だと感じただけです。
それまでと何かが大きく変わったわけではない。
ただ、「このまま何も考えずに時間が過ぎていく状態」からは、
少しだけ距離を置けた気がしました。
答えは出ていないけれど、考え始めた。
今振り返ると、それが最初の変化だったのだと思います。
まとめ|定年が怖かったのではなく、語れない自分が気になった
振り返ってみると、定年そのものが怖かったわけではありません。
仕事がなくなる不安や、生活が成り立たなくなる心配でもなかった。
ただ、その先の自分について、何も語れない気がしたことが引っかかっていました。
仕事は回っている。大きな不満もない。
それでも、このまま時間だけが過ぎていった先に、
「自分は何をしてきたのか」と聞かれたとき、
答えが浮かばない感覚が残っていた。
この記事では、解決策や結論を出していません。
この時点では、まだ何も決めていなかったからです。
ただ、考え始めたことだけは確かでした。